カメラ雲台(写真用)の話です。(販売はしません。)
どんな雲台がいいのでしょうか?
今回は、その値段のことを無視して、機能重視でお話を進めます。
その種類は大きく分けて2種類あります。
3WAY式雲台と自由雲台です。
3WAY式雲台は、パン棒など操作部が3つあって、回転軸がそれぞれ独立して動くタイプです。
繊細なフレーミングに向いています。
自由雲台は、一つの操作部ですべての角度が自由に動く雲台です。
私の使っている雲台を3種類を見てみましょう。
マンフロットの322RC2です。
グリップアクションヘッドという名前で売っていますが、
クイックシュー仕様の自由雲台の変形版ですね。
一時期縦写真を多く撮る仕事がありまして、
良いかなと思って購入しました。
簡単にフレームを決めることができ、
特に縦写真にやりやすいですね。
クイックシューをつける部分を買い足し、
中付け以外にも、先にも装着できるようにしました。
これは、ちょっとした俯瞰撮影に便利です。
しか~し、この雲台には少し問題が・・・
一時期、NikonD200を使って仕事をしていたのですが、
フルサイズのD3が発売されて、それを機にメインカメラをD3にしました。
D200では問題なく固定できていたのです。
D3になって、その自重がかなり重くなりました。
その結果、縦位置でちゃんと止まりません。
ヌルヌル滑るのです。
(先付けじゃなく、中付けで・・)
この雲台は決して、小さくはありません。
しかも重さもかなりあります。
なのに、なのに・・・D3の縦位置くらいで固定できません。
昔からそうですが、マンフロット製品はツメが甘い。
がっしりした見た目なのに、がっしりしてない・・。
PENTAX67を使ったりしたら、確実に固定できないと思います。
残念ですね。
ここで私が考える、理想の雲台の条件をあげてみます。
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1. ちゃんと固定できる。
2. アンロック時にスムースに動くこと。(カクカクならない)
3. ロック・アンロックが軽い力でできる。(強く締め付けなくても止まる)
4. 締め付け時に、フレームが動かないこと。(ここって所で止めてもフレームが動かない)
5. あまり重くないこと。
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この条件をマンフロットの322RCに当てはめてみました。
※Nikon D3を使用することを前提に・・
1.の条件も満たしていないことになります。
2.も少し怪しいです。(カクカク感がある)
3.は、アンロック時に握力が必要です。
4.は、話になりません。
5.は最悪です。雲台だけで、800gほどあります。
軽いカメラでは、固定できます。
D3ほどの重さのカメラでは、スローシャッターや厳密な撮影には向かないようです。
写真はLeicaの自由雲台というものなのですが、私は昔からこれを愛用しています。
小さくて軽いですが、軽い力でとても良く止まります。(235g)
動きもスムースで、ストレスはありません。
他社の自由雲台は、素材と構造に秘密があるようで、これを真似したくても真似できないようです。
特筆すべきは、4.の「締め付け時にフレームが動かない」ことです。
実は大抵の雲台は、これができないのです。
様々な雲台を使ってきましたが、Leicaの自由雲台は最高に使いやすいと思います。
ブロニーのカメラのハッセルブラッドでも、快適に使えますよ。
これがあまり知られていないのは、
元々、卓上三脚用に売られていたからかもしれません。
見た目のこの細さで、敬遠されてきたのでしょう。
普通の三脚につけて使えるってことが、あまり知られていないようですね。
昔カメラショーか何かで、8×10のフィールドカメラをこれにつけて、
斜めにして展示していたと、聞いたことがあります。
しっかり止まることをアピールしていたんですね。
ただ、この雲台の一つ弱いところは、縦位置の時に回ってしまいやすいということです。
構造上仕方のないことではあると思います。
そんな場合、L字のブラケットを使用すると安定感が増します。
(縦位置の問題を解決しているのが、梅本製作所の自由雲台、高くないし・・)
ついでに、卓上三脚も紹介します。
この雲台専用の卓上三脚は機能美あふれるデザインとなっています。
机の上からハッセルブラッドで、人を撮るのに重宝しました。
とにかく、このライカ自由雲台は、一生使うものだと確信しているモノです。
ちなみに新宿のヨドバシカメラのカメラ館では、
三脚コーナーではなく、ライカ売り場で売っています。
で、お値段はそれなりにします。
自由雲台は、ロック解除で全部が動いてしまうので、緻密なフレーミングはできません。
もうちょっと上とか、もうちょっと右とか、、
他の軸を変えずに動かせる雲台が必要な撮影があります。
そんな時は3WAY雲台の方が適しています。
長年様々な3WAY雲台を使ってきましたが、正直、先ほどあげた理想の5つの条件が当てはまるものがありませんでした。
で、このerg(エルグ)の雲台の存在は知っていて、その実力も分かっていましたが、
何しろプロが買うにも二の足を踏んでしまう値段なのです。
ヨドバシ三脚コーナーで見かける他の高価な雲台でも、この半分もしません。
そのお値段、13.5万也。
F-1や航空機に使用される素材、A7075という住友金属が開発した「超々ジュラルミン」でできています。高硬度でアルミ合金マニアには、たまらないらしいです。
無垢から削りだし。その誤差は0.02mm以下。日本の高度な金属加工技術の結晶です。
この N75 ALP は、高硬度を保ちながらわずか320g。で、耐荷重15kg!
贅沢の極みで作られているわけですから、高価なのも仕方ありませんよね。
他の3WAY雲台を使っていて、イラとしたのをきっかけに、ついに3年ほど前に思い切って購入。
分かってはいたのですが、
正直、「もっと前から無理してでも、買っておけばよかった」と思いました。
高精度な噛み合わせで、適度なテンションがかかり滑らかな動き。
ディスクブレーキ機構で、ブレずにしっかりと止まる。
つまり、LEICA自由雲台と同じく、締め付ける時に「クッ」と、ズレないのです。
(大抵の雲台は「クッ」となります)
ちなみに私個人としては、三脚よりも雲台に重点をおいています。
良い三脚はそこそこあるのですが、良い雲台はあまりないからです。
今回は、一般的には、とても高価な雲台のお話をしましたが、
プロカメラマンは仕事で使うのですから、重要な道具にはお金をかかってしまうのは仕方のないことだと思います。
プロじゃなくても、カメラが好きな人で13.5万が何でもないお金持ちの人は買ってください。
使っていて、本当に幸せを感じる雲台ですよ。
素晴らしい道具には違いありませんから・・
あ、でも、何でもお金をかければ良いとは考えていません。
「高いもの=使えるもの」ではない場合もあります。
できれば「安くて使えるもの」が理想でしょう。
雲台にお金をかけた分、安くて使える最新機材を物色していきます。
その知識を生かして、皆様が安く良い写真が撮れるように、サポートしていきたいと思います。
【緊急告知!】
近々「夢の Eye-Fi Pro X2 >アドホック(直接接続)> iPad パーフェクトガイド」に向けて、現在検証をおこっています。以前、軽くご紹介しただけですが、そのやり方の詳細までお伝えできると思います。乞うご期待。。














中居様、はじめてコメントします。
ライカ雲台を検討中で、検索してこちらを見つけました。詳しく説明されているので大変参考になります。
いま、三脚はジッツオトラベラー2型を使い、カメラはEOS5DMarkⅢを使っております。
雲台をコンパクトで、2型トラベラーに合うライカにしようと思っているのですが、最大でEF100ミリマクロレンズまでの使用でしたら、ライカ雲台でも可能でしょうか。梅本やマーキンスも一応視野に入れてはいるのですが、個人的にスマートなデザインのライカかなと。
突然の訪問で質問し、誠に申し訳ありませんが、アドバイスを頂戴できましたら幸いです。
よろしくお願いいたします。
Markビギナー様
駄ブログをお読みいただきありがとうございます。
ご質問の使い方でしたら、ライカの自由雲台で固定できるとおもいます。締めるときにフレームがズレないのはありがたいです。
但し、直接カメラにねじ込む方式なので、縦位置ではカメラと接続しているところが緩みやすいです。(緩み側に重心があるばあい・・)ちなみに、梅本の自由雲台は、縦位置でも緩まない構造になっています。
梅本の自由雲台も優秀ですが、たまにグリスアップの必要があるようです。その点ライカ自由雲台はメンテナンスの必要はないので、楽ちんですね。
あと、ライカ自由雲台はスリムな造りなので、カバンの隙間に入れやすいというメリットもあります。
以上、ご参考にしていただければと存じます。
中居様へ
初めての訪問にも関わらず、アマチュアの質問にお答えいただき感激です!
ありがとうございます。
軽量コンパクトを謳っている三脚なので、コンパクトでデザインがいいライカ雲台を
使いたかったんです。お墨付きをいただき、安心して購入できます。
これからもアマチュアには、すぐに応用できる内容ばかりじゃないと思いますが、
お気に入りに入れさせていただき、拝見させていただきます。
丁寧なアドバイスをありがとうございました。