【独断】聴くと写真が上手になるかもしれない音楽アルバム1選。


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音楽の話はお初です。


今日、iPhoneにこの曲を入れて久しぶりに聞きました(相変わらず好きだわコレ・・)。このアルバム(CDジャケット)は、歌手の佐藤奈々子さんが1995年にリリースした「FEAR AND LOVING」(15年ぶりらしい)。実はこの奈々子さん、80年代中頃からフォトグラファーのお仕事が中心になり、スタジオマン時代から、日本でお仕事をされるときは、私が手伝わせておりました。


スタジオマン時代、日本の錚々たるプロカメラマンの現場をお手伝いさせて頂きましたが、いつも彼女の撮影は他の誰とも違う撮影現場の様子でした。時はバブル期、カメラマンのスタジオワークは劇場型の現場をよく目にしました。例えば、雑誌の表紙の撮影で、半身人物撮るのに1200wsストロボを30台使い、フィルムもバカバカ使いまくっていたカメラマンも存在しておりました。(今だったら考えられない・・だってお金が凄くかかることだったので・・・)


ところが、ある外人モデルのファッション撮影での話。彼女は広いスタジオで、ホリゾントのライティングされた場所でモデルを手巻きで1枚だけとると、スタジオの端にあるスライダックス(スタジオの調光装置)までちょこちょこ走って行き、ピントをぼかして、スライダックスのお世辞にもキレイとはいえない赤・緑・オレンジなどに光るパイロットランプを「二重撮り、三重撮り・・・・をします(シャッターチャージだけしてフィルムは動かさない、所謂、多重露光)」つまり、モデル(スタジオの中心) ←→ パイロットランプ(スタジオの片隅)をいったりきたりするわけでして、現場の編集やクライアントのスタッフが「何してんだろ???」と思ったにちがいないとおもいます。(35mmを手巻きで撮る人すら珍しいバブル時代でしたから・・)


で、その仕上がりを見るとみんなビックリします。ボカした赤や緑やオレンジの幻想的な光が、モデルもしくは、モデルの周りが彩られて、実にファンタスティックな写真になっているのです。ここれはひとつの現場の話ですが、アシスタントにつくたびに、いつもいつも驚かされていました。観念にとらわれなさと自由過ぎる発想でファンタスティックな写真を数多く生み出しておられます。ピントがあってなかったりブレたりする写真なんですが、これが文句なしにいーんですよね。(これは好みの問題でもあるかもしれませんが・・)どれだけ修行しても、到底かなわない感覚(こーゆーの「センス」とかっていわれているのかな?)を魅せつけられてしまい、私の無力さを知った次第であります。


奈々子さんは、基本的なスタジオライティングのことはあまりご存知なかったようでして。「今日はロマンチックな光にして欲しいの・・(とウィスパーボイスでお願いされる)」「ドラマチックな光にして欲しいの・・」と、スタジオマンにセッティングのオーダーをし、その意をくみとり、我々が考えて基本的なライティングセットを作っていましたね。もちろんお任せだけではなく、その後ポラ(ロイド)を切って、なんかイメージと違う、このへんをもっと明るくしてほしいの・・・などのライテイングの修正はあるんですけどね・・。おそらく、奈々子さんの頭のなかには、仕上がりのイメージはちゃんとあったとおもいます、、、、というか、その時、突然天から舞い降りてきた「ひらめき」が、そのイメージだったかもしれません。



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本筋に戻ります。1993年か1994年頃、そんな奈々子さんが再び曲を作りだすようになりまして、お会いするたびに、「中居くん、曲が出来たの、聞いてくれる・・」と、カセットテープ渡されてました。聴いてみるとお友達ミュージシャンが弾いたギターの演奏(いや、ピアノだったかもしれない)と、奈々子さんの歌声だけのシンプルな曲が入っておりまして、、、それがそれがいーーんですよ・・。(ライブでは何回も曲を聞いていましたが・・)一番最初に聞かされた曲がで、このアルバム(フィアー・アンド・ラビング)の最後に入っている「ストレンジ・アニマル(STRANGE ANIMAL)」だったとおもいます。当時、奈々子さんは楽譜は書けないし、楽器も出来ないので、お友達に鼻歌で伝えて楽曲が完成していくという・・・なんともプリミティブな曲作りをされてると本人から伺いました。



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もともと英会話のものすごくお上手な奈々子さんなのに、録音前にロスに行き、約1ヶ月間のネイティブ・イングリッシュのボイストレーニングを受けられたと伺っております(常に上を目指しておられる模様)。このアルバムのプロデューサーは作曲家・編曲家の日向敏文さん(ドラマ「ひとつ屋根の下」など、一時期月9ドラマを多数手がけておられる)でして、日向さんのロスにある最新機器(当時)を有したスタジオ録音されたようです。



奈々子さんのことだから、予想より良いアルバムになっているんだろうなぁ、、、、と思っていましたが、いざ完成CDを聴かせてもらったら、その予想より、はるか雲の彼方くらいの完成度の高さで!(本心)、、奈々子さんには、驚かされっぱなしでした。。。。。(と言っても、20年近くも前のことでしたが・・・)



というわけで、フォトグラファーでもあり歌手でもある佐藤奈々子という天才が作った曲を聴くと写真が上手になるかもしれないので、自由な感性をリスペクトするためにiPhoneに入れて一日中リピートして聴いてみてください。今、聞いても、古くないし、シャレオツですし、奈々子さんの個性的なウィスパーボイスはとても良いとおもいます。(個人の感想ね・・・好き嫌いあるから・・)※作曲・作詞・歌はもちろん、ジャケットの写真・コラージュも奈々子さん作。※奈々子さんもライカ-Rユーザ(当時マクロ エルマリート-R60mm1本だけでお仕事されておりました・・)。




※ちなみに、ヘーベルハウスのCMの最後に「はーい!」というナレーションは奈々子さんね。(普通の声で、はーい!と言ったら3テイクで終わったそうですが・・)






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